どれが一番お得?住宅ローンの金利タイプや借入先の選び方
住宅ローンと一口にいっても、金利や手数料、借入先などが異なる多種多様な商品が提供されています。あまりに商品数が多いため、不動産会社に勧められたままに契約される方も多いのではないでしょうか。
しかし、その住宅ローンが必ずしも自分に適しているとはいえません。最適な商品を選ぶには、住宅ローンの特徴をしっかり把握することが重要です。
ここでは、金利や借り入れ先など住宅ローン選びのポイントや注意点をまとめました。
住宅ローンの金利タイプについて
住宅ローンの返済額に大きな影響を与えるのが金利です。わずか0.1%の違いでも、返済額は数十万円から数百万円も変わりますから、できるだけ金利の低い商品を選びたいものです。
住宅ローンを金利タイプで分けると、「固定金利」「変動金利」「固定金利期間選択」という三つの種類があります。それぞれの特徴を理解したうえで、金利タイプを選びましょう。
固定金利タイプ
固定金利タイプとは、金利が変わらない住宅ローンのことです。このタイプには、固定期間が10年、20年など一定期間は契約時の金利が適用される商品と、フラット35のように全期間固定金利の商品があります。全期間固定金利を選べば、返済額や月々の支払額が契約時に決まりますから、返済計画を立てやすいというメリットがあります。
一方で、固定金利タイプはほかのタイプより金利が高いというデメリットもあります。固定金利タイプの住宅ローンを検討する場合は、できるだけ金利の低い商品を選ぶことが返済額を抑えるポイントになります。
変動金利タイプ
変動金利タイプとは、市場金利にあわせて金利が変わる住宅ローンです。市場金利は日々変動していますが、住宅ローンの金利は半年ごとに見直す商品(金融機関)が多いようです。
ただし返済額については、金利の変動に合わせて5年ごとに見直します。
固定金利タイプと比べて、金利が低いことが変動金利タイプを選ぶメリットです。現在の低金利が今後も続けば、もっとも返済額を抑えられるタイプでもあります。
しかし、半年ごとの見直しで市場金利が上がり続ければ、返済額もアップするというデメリットもあり、場合によっては固定金利タイプのほうが返済額を抑えられることもあります。金利が上昇しても支払いが滞らないよう、余裕をもって借り入れることが大切です。
固定期間選択タイプ
固定金利と変動金利をあわせた住宅ローンもあります。それが、固定期間選択タイプです。契約時は固定金利でスタートするのが通例で、固定期間は1~10年くらいまで、商品や金融機関によって異なります。固定期間が終了すると、引き続き固定金利にするか、変動金利に切り替えるかを契約者が選べます。
現在の低金利が続いていれば、変動金利を選ぶことで返済額を抑えるのも可能です。ただし、途中で金利が上昇して返済額が増える可能性もあります。また、引き続き固定金利を選ぶ場合、契約時の金利ではなく更新時の金利が適用されるため、金利がアップしたら返済額が増えることも把握しておきましょう。
住宅ローンの借入先は金融機関だけではない
住宅ローンの借入先といえば、銀行などの金融機関(民間ローン)をイメージされる方が多いと思いますが、国や自治体などが運営する公的融資が使えるケースもあります。それぞれの特徴を把握し、借入先を選ぶことも大切です。
民間ローン
銀行やローン専門会社などが提供する民間ローンは、種類が豊富なことが特徴です。提供する金融機関も多いですし、一つの金融機関から複数の商品を用意しているところもあります。金利や手数料、融資限度額などを見比べながら、自分の価値観や資金計画に適した商品を選ぶと良いでしょう。
住宅ローンの申込時には、金融機関の審査が必要です。民間ローンは、その審査が厳しいといわれます。審査基準は金融機関によって異なりますが、年齢や収入、勤続年数、担保価値、健康状態など多岐にわたり、条件を満たさない項目があれば審査に落ちる可能性もあります。
また、住宅ローンを借り入れする際に数十万円の融資手数料が必要なところや、保証料が必要なところもあります。こうした諸費用も事前に確認しておきましょう。
公的融資
公的融資には、国の独立行政法人が提供する住宅ローンと、自治体が提供する住宅ローンなどがあります。
国が提供する住宅ローンには、勤労者退職金共済機構が運営する「財形持家転貸融資」や、住宅金融支援機構の「財形住宅融資」などが代表例です。これらは、福利厚生制度の一つとして扱っている企業も多く、勤務先に制度があり、財形貯蓄の年数や残高などの条件をクリアすれば利用できます。なお、勤務先にその制度がなければ利用できません。
また、自治体でも住宅購入の資金を融資しているところがあります。融資条件や融資額、金利などは自治体によって異なりますので、購入予定の物件がある自治体に確認してみましょう。
公的融資を利用するメリットには、民間ローンよりも金利が低いことや、保証料・融資手数料といった諸費用が不要なことなどが挙げられます。一方で、勤務先や自治体に制度がなければ使えないことが注意点です。
フラット35
民間の金融機関と、国(住宅金融支援機構)が連携して提供する住宅ローンもあります。それが、フラット35です。
全期間固定金利で契約時に月々の支払額も決まることから、返済計画を立てやすいというメリットがあります。保証料は無料で保証人が不要なのも、フラット35の魅力でしょう。
さらに、審査が厳しくないといわれるのもフラット35の特徴です。主な審査基準は、収入と住宅金融支援機構が定めた建物に関する技術基準を満たすこと。勤務年数や勤務形態などは審査基準に含まれないことから、転職したばかりの方や自営業、フリーランスなどに人気の商品でもあります。
注意点としては、固定金利のため変動金利タイプと比べると金利が高いこと。また、金利や契約時の手数料は、提携金融機関によって異なることが挙げられます。返済額を少しでも抑えるなら、金利の低い金融機関を選ぶのもポイントです。
住宅ローンの契約者は一人のほうがよい?
基本的に住宅ローンの契約は、一つの物件に対して契約者は一人です。ただ、その契約者の収入が少ないなどの理由から、複数人で利用できる住宅ローンも登場しています。ペアローンも、その一つです。
ペアローンとは、夫婦それぞれが別々の住宅ローンを契約して借り入れる商品のことです。主に、共働き世帯で、二人の収入をあわせて借入額を増やしたいときなどに利用されます。二人が別々のローン契約をするため、契約時に必要な手数料は通常の2倍かかりますが、住宅ローン控除を二人とも受けられるなど節税効果も期待できます。
一見するとメリットの大きいペアローンですが、たとえば妻が出産や育児休暇で収入がなくなった際、夫には二人分の返済が求められるなどの注意点もあります。
ペアローンと似た契約に、連帯債務があります。これは、連帯債務者を立てて契約する方法。契約者は夫、連帯債務者が妻とすることで、二人の収入をあわせて借入額を増やすことが可能です。また、連帯債務者も住宅ローン控除を受けられます。なお、連帯債務は契約が一つのため、諸費用はペアローンよりも安くなります。
なお、連帯債務で契約できる商品や金融機関は少なく、選択肢が限られます。また、団体信用生命保険(団信)について連帯債務者の保険料が高くなったり、加入できなかったりする場合があるのも注意点です。
契約者は一人の方が安心
複数人で契約すると、資金計画が狂ったり余計な費用がかかったりする場合があります。借入額を増やせるのは魅力ですが、その分、返済負担が大きくなるため家計がひっ迫するリスクもあるでしょう。
住宅ローンの契約は、基本的には契約者一人の方が安心です。
まとめ
住宅ローンを選ぶときに、もっとも大切なのは「自分に適した商品を選ぶ」ことです。ライフスタイルや価値観などと照らし合わせ、自分に見合う商品を選択することで無理のない返済計画を立てられますし、返済が始まってからもゆとりある生活を過ごせます。
まずは、金利タイプや借入先などの条件から絞り込み、商品の特徴を理解したうえで契約しましょう。